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植物由来のフェノール樹脂(リグニン変性フェノール樹脂)を開発

2020年08月28日


住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤原一彦)は、植物の主要成分である「リグニン」を活用した固形ノボラック型フェノール樹脂を開発し、課題であった製造技術を確立して量産機での生産を実証いたしました。主力の自動車分野をはじめ、今後各種分野に熱硬化性の環境対応プラスチックとして提供いたします。

開発の背景

当社主力製品のフェノール樹脂は、石油を原料として製造されており、今後の人口増加に伴う石油資源の調達リスクや気候変動対策としての温室効果ガスの削減などの地球規模の将来の課題に対応するためには、食料と競合しない非可食性バイオマス等の植物資源の利用による原料転換が必要になると考えられています。
リグニンはセルロース、ヘミセルロースと共に植物を構成する3大成分の1つで、バインダーとして植物体の細胞に物理的強度や化学的安定性を付与する役割を担っています。石油由来の芳香族系原料の転換資源が限られる中で、近年、天然のフェノール系高分子であり、芳香族有機資源として地上最大の賦存量を有するリグニンを、再生可能資源として耐熱性芳香族樹脂に活用することが期待されています。

当社では、主力製品のフェノール樹脂について環境対応ニーズが将来的に高まることを想定し、2010年以前からリグニン成分の樹脂利用の基礎研究に着手、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発(2010~2012年度)」、「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発(2013~2019年度)」 への参画も含めて、種々のリグニンを用いた樹脂合成の基幹技術と産業利用を目指した樹脂開発を進めてきました。

開発品について

液状レゾール型のリグニン変性樹脂については古くから研究がなされており、近年、欧州を中心に木材接着剤等への適用が進んでいます。当社ではこれら液状レゾール型樹脂に加えて、製造プロセス面で難易度が高い固形ノボラック型のリグニン変性樹脂を開発し量産技術を確立しました。

基盤研究の知見をもとに実用化検討を重ね、既存の石油由来フェノール樹脂と遜色ない加工性、樹脂材料特性、コストの並立が可能となりました。バイオマス比率も用途によっては50%以上の樹脂設計が可能です。今回ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂を開発したことにより、当社主要用途の自動車分野をはじめ、広範なフェノール樹脂材料分野での利用が可能となりました。

固形ノボラック型 リグニン変性フェノール樹脂

リグニン変性フェノール樹脂製造のプロセス

リグニン変性ノボラックと想定される用途(成型品)

石油由来フェノール樹脂と同様に、用途に合わせた樹脂特性に調整可能。石油由来樹脂同等の優れた強度・耐熱性に加え、リグニン由来の機能が得られています。

今後の展開

非可食性バイオマス等の植物資源の活用に対する市場の多様なニーズに応えるべく、環境対応への需要が一層高まっている自動車や航空機関連部材をはじめ、様々な産業分野で用いられているフェノール樹脂材料への適用・実績化を目指し、国内外の各種産業分野への利用展開を図ります。

コスト競争力のある再生可能な原料である非可食性バイオマスを利用したフェノール樹脂製品の製造プロセスを実現し二酸化炭素の排出量削減により、持続可能な低炭素社会を実現する産業基盤の構築とSDGsの実現に寄与してまいります。

なお、本開発品を含む新規材料をケミカルマテリアル Japan2020-ONLINE-に展示予定です。

  • ケミカルマテリアルJapan 2020 -ONLINE-
    2020年10月19日(月)~11月18日(水) 10:00~17:00
    https://www.chemmate.jp/

※国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業の詳細はNEDOのHPをご参照ください。



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本件に関するお問い合わせ

住友ベークライト株式会社 高機能プラスチック製品事業本部 ポリマー営業部
Tel:03-5462-4764    E-mail: info@sumibe.co.jp