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トップインタビュー

トップインタビュー「プラスチックのパイオニア」として取り組むSDGs・価値創造

「プラスチックのパイオニア」として取り組むSDGs・価値創造

住友ベークライトは、グローバルに拡大する事業を通じ、さまざまなステークホルダーと協力しながらSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への貢献に取り組んでいます。国連開発計画(UNDP)親善大使を務め世界各地で環境保護や貧困削減の活動をしてきた女優・紺野美沙子氏をお迎えし、住友ベークライトのSDGsへの取り組み・価値創造をテーマとする対談を行いました。

インタビュー

「プラスチックのパイオニア」としての多様な製品展開

紺野 住友ベークライトは「プラスチックのパイオニア」として、さまざまな分野で事業を展開されています。私が存じ上げているのは野菜の保存用に使っている『P-プラス®』ですが、ほかにどのような事業があるのでしょうか。

藤原 1907年に、世界で初めて植物以外の原料によって人工的に合成されたプラスチックがフェノール樹脂です。そのフェノール樹脂を日本で最初に産業化した会社が起源であることから、住友ベークライトは「プラスチックのパイオニア」と名乗っています。現在、半導体関連材料、高機能プラスチック、クオリティオブライフ関連製品の3つのセグメントで事業を推進しています。『P-プラス®』はクオリティオブライフ関連製品の一つですね。住友ベークライトはいわゆる材料メーカーなので、当社の多くの製品は最終製品またはその部材をつくるお客さまへ材料として納品しており、消費者の方々の目にはほとんど触れません。

紺野 そうなんですね。たとえばどのようなところで、住友ベークライトの材料は使われているのでしょうか。

藤原 半導体はパソコンやスマートフォンに使われていますが、半導体チップを覆って保護する封止材を私たちがつくっています。自動車ならタイヤやブレーキなど随所に高機能プラスチックの製品が入っていますし、近年、生産台数が増えている電気自動車でも、モーターの重要な部品に使われています。ほかにも航空機やシェールガスの掘削機械、病院の医療器具や医薬品・食品の包装材、建材関係など、多岐にわたります。

紺野 実に幅広いですね。驚くほどの多様性です。それらの製品に、住友ベークライトならではの特徴などはあるのでしょうか。

藤原 半導体関連材料と高機能プラスチックにおけるトレンドは、軽量化です。これは環境対応にもつながります。廃棄物削減はもちろん、たとえば自動車部品として考えると、軽ければ軽いほど燃費がよくなりCO2排出量を削減できます。それと、2019年度より取り組んでいる中期経営目標では、「SDGsに即したOne Sumibe活動の実践により、機能性化学分野での『ニッチ&トップシェア』の実現とともに、事業規模の拡大を図る」ことを掲げています。SDGsへの貢献に寄与する製品が多いことも、特徴と言ってよいでしょう。今は研究開発にも力を入れており、SDGsの視点を盛り込んだ新製品の早期立ち上げを目指しています。

紺野 私たちの暮らしの身近なところにある製品なだけに、SDGsへの貢献を強く意識していただいているのはうれしいことです。同時に、私たち消費者の側も、購入する際にはSDGsや環境問題について意識していかなければと思います。消費者としてはどうしても価格に注目してしまいがちですが、そうではなく、「この製品をつくっている会社は、どんなふうに環境に配慮しているのだろう」と考えて購入しなくてはならない。そのような賢い消費者でありたいです。
藤原 お客さまのご要望にお応えする製品をつくるのが第一ですから、そう言っていただけるとたいへん励みになります。また、2020年の最大の危機は新型コロナウイルス感染症です。住友ベークライトでも社会の役に立てないかと検討した結果、不足が深刻だった医療用フェイスシールドを製造することにしました。元々、ヘルメットとポリカーボネートシートを製造していたのでそれらを組み合わせ、開発開始から1ヵ月ほどで量産体制にまでこぎつけました。
紺野 実物を拝見しましたが、軽くて透明度が高く、とても使いやすそうでした。医療現場へ直接届けられたのですか?

藤原 今回はとにかく困っているところへ早く届けたかったので、感染防護具不足が深刻だった地域や工場のある地元の自治体の行政機関へ贈呈しました。医療機器製造の技術や知見も生かしているので、品質には自信があります。

SDGs への取り組みをグローバルに推進する体制

紺野 近年、SDGsの推進に熱心な企業は多くなってきましたが、中でも住友ベークライトはすでに経営目標にも取り入れており、非常に先進的だと思います。

藤原 SDGsは新しい理念ではなく、住友ベークライトが以前から掲げてきた基本方針(社是)に通じるものと捉えています。基本方針の中で「我が社は、信用を重んじ確実を旨とし、事業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献することを期する。」と謳っているのですが、この考えの原点は400年前から受け継いできた「住友の事業精神」です。事業を通じて社会に貢献するというのは、ずっと以前からの社命なのです。

紺野 基本方針と通じるものとSDGsを捉えれば、社員の皆さまも受け入れやすいですね。ところで、SDGsは17の目標と169のターゲットが設定されており、具体的な項目が盛り込まれています。それらを企業全体で一体となって推進していくとなると、難しい部分もあるのではないでしょうか。

藤原 まず、トップが旗を振って動くことが重要だと考えています。全社をあげてSDGsを推進するために、2018年にSDGs推進準備プロジェクトチームを発足させました。さらに2019年にはSDGsを含む当社グループのサステナビリティ活動を継続的かつ全社的に行う母体として、サステナブル推進委員会を設置しました。社長である私が、この委員会のリーダーを務めています。トップから現場まで一体となって取り組むことを、体制の面でも明確にしたわけです。このサステナブル推進委員会のもとで、SDGs推進や気候変動対策、廃棄物削減の取り組みなどを行っています。さらに、SDGsの17の目標のうち、住友ベークライトにとって事業とのかかわりが深い5つとプラスチックを扱う企業として重視すべき1つを選定し、重点領域目標と定めて取り組んでいます。

紺野 それらの取り組みは、世界中の事業所・工場を対象とされているのでしょうか。

藤原 はい、グローバルに展開しています。SDGsも気候変動やその他の環境問題も、どれも地球規模の課題ですから。事業のグローバル化はこれからもさらに進めていきます。当初はお客さまの事業展開に合わせての海外進出でしたが、今はそれ以上に、グローバルな製造体制をもっていることが私たちの強みとなっています。新型コロナウイルス感染症の影響で一部の工場の稼働が停止した際も、ほかの地域の工場で代わりに製造することで製品供給をストップせずにすみました。原材料調達の面でも同様です。異なる地域から原材料を調達できるよう、BCP(事業継続計画)という観点から体制を整えてきたことが、今日に結びついています。

「人間力」を向上し、さらなる価値創造に取り組む

紺野 製品や体制のお話をうかがってまいりましたが、それとあわせて、製品を使う人、つくる人の教育も非常に大切なことだと思います。私が親善大使を務めてきたUNDPでも、人間開発に力を注いできました。

代表取締役社長 藤原一彦

1980年 住友ベークライト入社。
2003年バイオ製品開発プロジェクトチームリーダー、2007年S-バイオ開発部長、2009年6月S-バイオ事業部長 執行役員、2013年常務執行役員、2014年取締役常務執行役員、2018年代表取締役社長執行役員に就任。

藤原 おっしゃる通りです。私は年初に従業員へ向けて発信するメッセージで、2020年のキーワードを「人間力」としました。「人間力」とは、やる気、能力、人格・人柄の掛け算です。従業員の皆さんには、ぜひ、「人間力」を上げてもらい、さらに住友ベークライトで働いていてよかったと思ってもらいたい。そのために、SBスクールやSBPS(住友ベークライト生産方式)活動を柱として、人材育成を進めています。

紺野 従業員の働き方についてはいかがでしょうか。SDGsでは「8 働きがいも 経済成長も」や「5 ジェンダー平等を実現しよう」がかかわってきます。

藤原 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、日本でも在宅勤務が一気に広がりました。これまでにない急激な変化です。住友ベークライトでも緊急事態宣言が出る前から、緊急対策本部を立ち上げさまざまな施策を行い、多くの従業員が在宅勤務や時差出勤を行いました。はじめは業務が滞るのではないかという不安もありましたが、そんなことはありませんでした。もちろん、個人の性格・能力や担当業務によって向き不向きはありますが、このような状況ではそうも言ってはいられません。従業員自身の身を守るためにも、協力していただきました。今回は急な事態でしたが、在宅勤務は新型コロナウイルス感染症収束後も、一つの働き方として継続することになるでしょう。
紺野 これを機に、働き方が大きく変わるわけですね。従業員の皆さまにはそれぞれの事情があるはずですから、いろいろな働き方を選択できる体制になるとよいですね。
今回の対談を通して、プラスチックにはまだまだ多くの可能性があるということを知りました。研究開発にも力を入れているとのことですので、きっと多くの課題解決につながる製品が創造されるだろうと、楽しみに思います。一方で海洋プラスチックの問題などもあり、プラスチックはいろいろな意味でも注目されています。材料メーカーにとって海洋プラスチックは直接的にはかかわりの薄い問題かもしれませんが、プラスチックの可能性を引き出す住友ベークライトならば、何か画期的な解決策を生み出してくれるのではと期待をもってしまいます。ぜひ、豊富な知見や実績をどのように社会課題解決に生かせるのか、これからも積極的に考えていってほしいです。

藤原 グローバルに事業を展開する企業には、売上・利益などの経済的価値だけでなく、事業を通じて持続可能な社会実現に貢献することが求められています。ステークホルダーの期待に応え、さらなる価値創造を行い、持続可能な社会への貢献に取り組んでいきます。

女優 紺野 美沙子氏

1980年、慶應義塾大学在学中にNHK連続テレビ小説「虹を織る」のヒロイン役で人気を博す。「武田信玄」「あすか」など多数のドラマに出演。舞台「細雪」(原作・谷崎潤一郎)では三女・雪子役を好演。1998年、国連開発計画親善大使の任命を受け、カンボジア・パレスチナほか、アジア・アフリカの各国を視察するなど、国際協力の分野でも活動中。2020年にはブラジル貧困層への新型コロナウイルス対策に資金協力を行う。2010年秋から、「紺野美沙子の朗読座」を主宰。NHKFM「音楽遊覧飛行」案内役を担当。元祖スー女としても知られ大相撲有識者会議の一員である。2020年12月~2021年1月、東京・大阪・福岡で舞台「両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)」に出演。

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